2018年5月21日月曜日

健康番組で重症筋無力症が取り上げられたことについて。

先日テレビで、名医とつながる!たけしの家庭の医学で、重症筋無力症が取り上げられました。原因不明の疲労感の原因が重症筋無力症であると診断を受けることが出来た患者さんは、適切な服薬治療で職場復帰できるようになったー、という内容の再現ドラマでした。

疲労感に対する日本人のメンタリティ
ドラマでは旅館新人女将が大女将に詐病扱いされるシーンが有りました。これは重症筋無力症罹患者なら経験があるのではないでしょうか。疲労感の訴えを弱音や愚痴として一蹴しようとする、日本人のメンタリティが重症筋無力症罹患者を追い詰めている一因と考えせられる、胸が痛くなるようなシーンでした。またこういったメンタリティが、診断を受けるべき人を埋没させているのではないでしょうか。

重症筋無力症は簡単な病ではない
Twitterでは、この番組を見た罹患者と思われる方による、ドラマでの誤解を招きかねない表現について指摘したツイートが見受けられました。私も番組を見ましたが、長期通院を強いられること、再発の可能性、薬の副作用とその管理の難しさ、筋力低下による就労困難に伴う収入の激減、胸腺との因果関係、手術の必要性、社会的地位の喪失、誤解や偏見や齟齬による人間関係の崩壊など、診断後から波及する二次的、三次的諸問題、いわゆる重症筋無力症の厄介な部分には全く触れられていませんでした。重症筋無力症が診断されるまでの医師の考察過程で、視聴者を引っ張る演出もあり、昔NHKでやっていた浅草キッドの総合診療医ドクターGを思い出しました。
こちらの番組では、研修医が患者の症状から考察をして、病名を絞り込んで診断するー、という医療従事者側の考察を主にした構成で、重症筋無力症を取り上げた回でも考察過程に終始した内容で、いわゆる重症筋無力症の厄介な部分には触れられていませんでした。重症筋無力症をテレビで取り上げられて周知されることは、患者の立場としてはありがたいことですが、重症筋無力症の厄介な部分に触れていないという点では、総合診療医ドクターも家庭の医学も同じで、フラストレーションの残る内容であると言わざるを得ません。
そして、この2つの番組はそれぞれメイン司会が、ビートたけしと浅草キッドという師弟関係であるという事実は、果たして意図せず起きたことなのでしょうか。

テレビで取り上げることの限界
薬の副作用について、テレビで触れるのは抗がん剤くらいでしょうか。例えば、ステロイドはよく知られた薬ですが、テレビの健康番組でこの副作用について特集した番組を見たことは、私の記憶にはありません。テレビでは、薬の副作用を番組にすることがタブー視されている印象、その他の制約が伴っている感は否めません。
依然として、重症筋無力症がテレビのネタの一つとしてしか解釈されておらず、重症筋無力症の問題に鋭く切り込んだ番組は見受けられません。そう考えると、テレビで重症筋無力症を取り上げるには限界があり、我々の抱える問題が軽減、解決に向かうような番組は、見ることができないのが実感です。とはいえ、患者側が納得できる番組内容は、一般視聴者にとってはつまらないものと取られ兼ねない可能性も、充分考えられます。

さて、同じく先日テレビで、林修の今でしょ講座で卵についての特集がされていました。

卵の摂取でアセチルコリンの減少を防ぐ
卵にはコリンと呼ばれるアセチルコリンの元となる物質が含まれており、卵を食すことでアセチルコリンが生成され、アルツハイマーの予防につながるとか。
アセチルコリンと言えば重症筋無力症と関係あるのではないか?と、番組を食い入るように見ました。
重症筋無力症は、筋肉動作命令を受け取るアセチルコリン受容体を、免疫機能が外敵と誤認し体内にアセチルコリン受容体抗体を作り、この命令伝達のやり取りを阻害し、筋力低下や疲労感を起こす難病です。
番組を見て思ったのが、卵を食することでアセチルコリンが生成されるなら、体が動かしやすくなるのではないかと。同時に疑問に思ったのは、アセチルコリンを受け取る役目である、アセチルコリン受容体は一生同じ数なのか、あるいは増減するのか、ということです。これについては調べてはみますが、なんとも言えません。
番組によると卵の摂取で、アセチルコリンの減少を防ぐことができ、それがアルツハイマーなどの認知症予防に繋がると行った内容でした。1日に3個くらい食すことが理想だとか。長寿の方は卵を野菜と肉と一緒に摂取しているとのこと。
人間の動作や思考に必要な伝達を担う物質がアセチルコリンではないかー、と感じました。
これからは卵を意識して食べていこうと、早速、卵かけご飯を食べました。どういうわけか、いつもの卵かけご飯より美味しかったです。