2018年10月6日土曜日

マスク着用について思ったこと。

プレドニンやプログラフといった、免疫抑制剤を服薬する治療法は痛し痒しで、重症筋無力症の症状を軽減させるかわりに、風邪などの感染症にかかりやすくなるというリスクをはらんでおり、皆さんもそうだと思いますが日常生活は、戦々恐々なものへと変わっていきます。
そういったリスクの回避を新たに考えなければならず、始めた対策が、手洗い、うがい、マスクの着用です。しかし現実は裏腹で、他人からの理解は乏しく、恐れていた感染症は現れてしまいました。重症筋無力症の症状の悪化がなっかたのが不幸中の幸いでしたが、爪、鼻、腋下、粘膜、皮膚などに免疫抑制剤の副作用がどんどん現れていきました。
  • ・・・喉の痛みは時々起こりました。
  • 手足の爪・・・プレドニンの服用が原因でしょうか、知らないうちに爪が薄く柔らかくなります。この柔らかい爪が伸びてくると、ちょっとした引っ掛かりでも爪が裏返りやすくなります。なので、爪を短くしないと指先の不快感があります。ところが、短めに爪を切ることで、爪を切った付近が炎症を起こしてしまうので注意が必要でした。誤って深爪をしてしまうと、ばい菌がはいって炎症と痛みを起こしました。さかむけも同様です。足の指の爪に関しては、陥入爪を起こしてしまったことがあり、このときは歩行もままならないほどの痛みでした。陥入爪は健常な人にも起こることですが、人生で初めての経験でしたので、免疫抑制剤で感染に弱くなっていたのが原因かと思われます。本当に驚きました。インターネットで直し方を紹介しているサイトを見つけてそちらの方法で治すことができました。治療方法をサイトで調べているうちに新たに知ったのは、爪の切り方でした。スクエアオフという切り方です。この切り方は、陥入爪を起こりにくくする切り方だそうです。また、爪の強度を保つことができるので、裏返りにくくなります。足の爪だけではなく、手の爪にも、この切り方を試してみました。スクエアオフで、感染による炎症や化膿はずいぶんと減りました。爪の切り方一つも甘くみることはできません。
    【参考リンク】
    陥入爪、爪肉芽の悩み相談、
    切り方はスクエアオフ
  • 頭皮・・・フケがたくさん出るようになり、痒みも激しいものでした。就寝中に目がさめるほどの掻痒感です。白癬菌か何かわかりませんが、皮がポロポロと剥がれ落ちていきます。これは毎日洗髪を行っているにもかかわらず起こりました。抗菌シャンプーで少しは減りましたが、収束するほど決定的な効果は得られませんでした。日中も痒みはひどく、痒くて集中できない状態になりました。
    【関連記事】
    洗髪動作や頭皮不調に伴う労苦を軽減する工夫について
  • ・・・呼吸をすると鼻の中から変な匂いがし始めました。例えるなら、放置した雑巾のような、腐敗臭のような、嫌な匂いです。免疫抑制剤を服用してから、こういったことが起こり始めました。正しい対策ではないのですが、市販のうがい薬で鼻うがいをして、鼻の中の清潔維持を試みていました。あまり効果はなかったので、どうやら鼻の奥深い箇所で異変が起きていたのでしょう。鼻うがいを頻繁に行い、鼻水をしっかり外に出していました。また、ティッシュでこよりを作り鼻に突っ込んでくしゃみを起こすことで、鼻水をたくさん出すようにもしていました。くしゃみや鼻水を意図的に起こすことで、鼻の奥を清潔にしようという試みです。そういったことを繰り返し行なうと、徐々に鼻の奥の嫌な匂いは減りましたが、免疫抑制剤をやめるまで、この不快な匂いは収束しませんでした。たくさん鼻水を出すことでかろうじて腐敗臭が軽減できていたといった感じです。
  • 脇の下、脇腹・・・知らないうちに赤い発疹ができており驚きました。なんの痛みも痒みもないのですが、赤い発疹がポツポツと現れて異様でした。これは、当時の主治医に見せたところ、リンデロンが処方されて塗布することで収束しました。
  • 肛門・・・排便後に肛門の周りがむず痒くなったり、ヒリヒリと熱感を持つようになりました。市販の消毒薬や塗り薬を試しましたが、最も効果があったのはおしり洗浄器でした。少しでも痒みや熱感が現れたらすぐに洗浄していました。まめに肛門周りを清潔にすることで、痒みや熱感はなくなりました。やはり、ばい菌は洗い流すのが一番効果的なのかもしれません。
  • 帯状疱疹・・・これが一番のつらい副作用だったかもしれません。
    【関連記事】
    帯状疱疹が現れた
    爪の炎症、鼻の蓄膿、頭皮の掻痒感、腋下の発疹、帯状疱疹、喉の痛みといったかたちで次々に現れていきました。
    プレドニンやプログラフの服用は、私の場合、粘膜や皮膚が薄くなりました。そういった弱くなった箇所、清潔管理がしにくい箇所に、不調が現れる印象がありました。

    清潔を頑張るほど浮いた存在へ
    主治医からは、「免疫抑制剤を飲んでいるうちは、潔癖くらいが丁度いいですよ。」と言われていたので、当時、衛生観念にはかなり神経質になっていました。感染症による症状悪化が本当に怖かったので、マスクを常用していました。
    通院などで街中を歩くときはマスクを二枚重ねにするほど神経質になっていました。
    免疫抑制剤の服薬期間中の何年かは、ほぼ毎日マスクをして過ごしていました。
    手洗い、うがいを頻繁に行なっていると、水道の音がうるさいと家族に言われることがありました。手洗いうがいに関して他人との軋轢はそれぐらいしか起こりませんでしたが、難儀なのはマスクの着用です。
    マスクの着用は室内でもしていました。なぜなら、家族は風邪を引いてもマスクをしないからです。風邪を防ぐ為に仕方なく着用していたわけです。家族の誰かが風邪を引いたりインフルエンザにかかった時に、マスクをするように頼んでも、面倒だとか邪魔だとかという理由で、拡散予防に一切協力してもらえず、悔しい気持ちになることもありました。逆に、「マスクなんか陰気臭いからしないでくれ。」とさえ言われたものです。免疫抑制剤の服用で体調がみるみる変わっていくことに危機感を感じていた私と、そんなことを意に介さない家族との温度差は大きく絶望的なものでした。マスクが邪魔なのも陰気臭いのも、わかった上での協力をお願いしていたのですが。家族の理解があれば、家の中くらいマスクをせずに済んだのですが、最後までわかってもらえませんでした。
    日本人の国民性でしょうか、それとも地域性なのでしょうか、いつもマスクをしているとネガティブに解釈される印象を受けます。特に私の住んでいる田舎では、顔を隠す閉鎖的な人間に思われるのでしょうか、あの人はなんでマスクをしているのだろうかという無言の圧力、視線を感じます。
    また、普段からマスクをして行動していると、たまに会う甥っ子や姪っ子がマスクの着用を真似したがります。なぜマスク姿を真似したいのかわかりません。近所の子供に至っては、「あのマスクの人は誰?」などと言われ、「じろじろ見るな。」と、心の中でよく思っていたものです。子供が抱く、風変わりな者や少数派への純粋無垢な反応は、大人以上に露骨です。
    職場においても、マスクをしていると、
    • 「今日は風邪なの?」
    • 「なんでマスクなの?」
    • 「花粉症でもあるの?」
    と、何人もの同僚に質問をされる時代でした。それだけ当時は、マスクをする人は珍しかったような気がします。
    眼瞼下垂を隠すときやまぶしさに耐えられない時は、サングラスも併せて装着する場合もあったので、やはり、かなり浮いていたと思います。

    隠蔽を目的にマスクを着用する人も
    最近はマスクをしている方が多く、一体なんでこんなに皆マスクをしているのか不思議です。テレビに映る自衛官や警察官までもマスクをしている人を見かけます。国や地域の治安を守る立場である以上、公衆の面前では屈強な姿であって欲しいものです。
    さて最近では、だてマスク(伊達マスク)という言葉さえ存在し、体調、衛生管理だけがマスクの着用理由ではなくなっているようです。
    以下ウィキペディアより引用します。
    着用者や推進派が語る、「だてマスク」の目的は以下の通りである。
    • 何となく落ち着く[1]
    • 怒られている時、マスクを外しているとこたえる[1]
    • 顔がコンプレックスだから[1]
    • 顔を隠せるため視線にさらされない安心感がある[1]
    • 会いたくない知人と会ったとき、相手に気づかれずにやり過ごせる[2]
    • 人と話さずに済む[4]
    • 物怖じせずに会話ができる[4]
    • 妄想でニヤついても問題がない[4]
    • マスク美人もしくはイケメンになれる[4]
    • 仕事中に眠いのを隠すため[3]
    • ノーメイクで出かけるときの顔のカバーとして。
    • 寝ているときに乾燥から唇や顔を保湿する美容目的。
    • 真夏やスキー、スノーボードなどでの紫外線予防。
    • 髭が剃れなかったり、徹夜明けの無精ひげを隠す。
    • 焼き肉など臭いの気になる食事を楽しんだ後の口臭予防。
    • 調子が良くないときに何となくアピールできる。
    マスク、もうやめた
    だてマスクのことを知ると、マスクの使い方や効果も色々あるんだなと思わされました。
    現在は、マスクをすることはほとんどなくなりましたが、ひょっとしたら、だてマスクをすることがあるかもしれません。
    今冷静に考えると、マスクの効果がどれほどのものだったのかわかりませんが、戦々恐々な毎日だったので、当時はそうするしかなかったように思います。
    不思議なもので、服薬を終え、皮膚や粘膜に副作用が現れなくなると、マスクなどしたくないと自然に思えてきました。
    やはりマスク無しで、自信を持って出かけることができるのは、嬉しいことです。